2010-05-17

5月16日、日曜日にもかかわらず水戸岡氏の事務所をおうかがいしました。

お昼前から約2時間、日曜日も平日も関係ないお仕事ぶり。
水戸岡さんが今描かれている、新しい寝台列車のスケッチを、ここで公表させていただくことをお願いしてきました。
来週以降にはアップできると思います。
食堂車やバーサロンカーなど、いずれも内部のスケッチで、思わず声をあげたくなるようなものばかりです。

そんな中から伺ったこぼれ話を。

ある、エンブレムの話。
宮崎県の日南線を走る「海幸山幸」号は、廃止になった高千穂鉄道からやってきた「トロッコ神楽号」を改造したもの。
外装はたっぷりと木を使い、車内では客室乗務員による「うみさち やまさち」の自筆紙芝居も上演される楽しい列車です。
なにより驚かされるのは、外装にも木を使っていること。明治・大正時代ならともかく、現在の車両の外装に木を使うというのは、予想外の発想です。実際に乗っているお客さんたちも気がつかない人が多いのは、「まさか!?」とおもうからでしょう。
もちろん車体自体が木というわけではなく、外装材として木を使っているわけですが、触ると温かみを感じる鉄道車両って、ちょっと他にはないでしょう。(触ると熱い!蒸気機関車は別として……)
さて、この外装板の上には、「海幸山幸」のエンブレムが付いています。
文字をモチーフにした金属板 です。
実はこれを取り付けるにあたって、ひと悶着あったそうなのです。

「金属板が落ちたらどうする!」
”万が一”にナーバスなプラスチックかステッカーに変更せざるをえないほど、現場の声が大きかったといいます。
木目の「化粧板」ではなく、本物の「木」を、そこにはプラスチックではなく金属の質感を、という発想は生かされぬままになりそうでした。

万が一、落下した時の「安全」を考えてと言えばそうなのでしょうが、
万が一、落下した時の「保身」を考えての行動でもあるのでしょう。
”何かあったら責任を取らされる”、と冒険できない現場。
それを打ち破ったのは、
”何かが、おきないようにするのが現場の仕事だ”というトップのツルの一声。

そう言った限りは、万が一の責任はトップにもかかる、ということなのでしょうが、
そんなこんなもふまえてGO!を出せる人がトップにいるというのは素晴らしいことです。

九州の車両がユニークで面白いのは、形や色が素晴らしいというだけではなく、
このようなトップがいて水戸岡さんのようなトータルデザインをする人がいてこそのものだと、
改めて実感してきました。

もうひとつ、
水戸岡さんには、「つばめ号」787型特急電車を造った当時、あるアイディアをおりこんでいたそうです。
それは、Arround the KYUSYU
九州を巡るつばめ型の車両。ビュッフェ型の食堂車を編成に組み入れたのはその一環だということでした。
「寝台列車を造るんだったら、あれに改造した車両を組み込めばいいんだよ」
ということで、九州新幹線本格開業後をにらんで、新しい寝台列車はこれから本格化しそうです。umisachi‐eb.JPG
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